モリタ工業株式会社

昭和39(1964)年の創業。暮らしの必需品であるガス給湯付風呂釜・ガス給湯器の製造販売する。50年にわたり安全性を保ってきた実績とノウハウを生かし、新たなプロダクトの開発に取り組み、温水シャワー「ERIF アウトドアガスボイラー」を販売。

https://www.moritakk.co.jp

モリタ工業に息づく挑戦と開拓のDNA

昭和のベンチャー企業として業界の常識をくつがえし、外装内面の断熱材に当時としては珍しいグラスウールを採用した高い熱効率風呂釜や、幅110mmの超薄型風呂釡といった団地向け製品を開発した創業期の経験が、今でもモリタ工業の企業精神のDNAとなっている。2019年。風呂釜メーカーとして培ってきた設計と製造の技術を生かし、日本初となるカセットガス式ポータブル給湯器、「ERIF OUTDOOR GAS BOILER(エリフ アウトドアガスボイラー)」を発表。その開発・製品化に至るまでには、いくつもの困難を乗り越える必要があった。

日本初となるカセットガス式
ポータブル給湯器の開発

自社で培ったこれまでのノウハウを活かし、今までにない製品として、モリタ工業では初めてのカセットガスを使った給湯器の開発に挑むことを決定。機能はもちろん、スタイリッシュな形状を実現するため、デザイナーにもプロジェクトに参加してもらい魅力ある製品作りを目指した。超薄型風呂釜の開発の経験から、コンパクトに機能を収めることに自信はあったものの、カセットガスを使う開発が初めてということもあり、手探りで開発をスタート。カセットガスの気化熱でボンベの温度が下がりガス供給量が減少してしまうことへの対策や、ガス量調整バルブの開発、連続給湯時間の検討など、課題をひとつづつクリアしていった。

シンプルでスタイリッシュな
デザインを実現するために

設計サイズの検討段階からデザイン面とのせめぎ合いが始まり、本体・シャワーヘッドの形状、色など意見を戦わせながら設計が進められた。製品化・量産化のために思い通りの形を実現してくれる金型業者の選定や樹脂加工メーカーとの交渉も「今までにないものを」「よりデザイン性を重視したものを」とのこだわりから難航したが、熱意を汲んでくれるメーカーとの出会いや粘り強い交渉の末に実現できる見込みが付いた。前面パネルの開閉方法や、ヒートパネルの製造方法など、イメージ通りの製品を世に送り出すための設計・デザイン・コストの折り合いをまとめ上げ、全社をあげてのさまざまな耐久試験の実施を経て量産化へ。モリタ工業の新しい可能性を秘めた製品として世に出た「ERIF OUTDOOR GAS BOILER(エリフ アウトドアガスボイラー)」は、こだわりの機能とデザインが認められ、中国デザイン学術賞DIAでは銅賞を、グッドデザイン賞ではグッドデザイン・ベスト100を受賞した。

さらなる開発指令
ポンプで稼働する仕様

「ERIF OUTDOOR GAS BOILER(エリフ アウトドアガスボイラー)」を発表し、発売開始後すぐに新たな課題が掲げられた。水の供給は水圧の問題で水道との接続が使用条件であったが、ポンプで水を送り込んで使える仕様の開発指令が出されたのだ。これが可能になれば、タンクに貯めた水さえあれば水道設備のない屋外や災害時の断水状態でも温水を供給することができる。しかし、現状ではかなりの能力のポンプでないと動作が難しいことがわかったため、一時は断念の意見もあがったが回路構成を変更する検討や試験を重ね、ダイヤフラム式のポンプを使用することで実現の可能性が見えてきた。そこにオグショーから「ERIF」に付いての問い合わせがあった。トランポに積み込んでアウトドアで使うためのノウハウを持つオグショーが参加し、共同開発の体制がとれたことで、機器の仕様の割り切りを決心でき、タンク+電源+ポンプの給水ユニットと本体でどこでも温水シャワーが使える「HOT SHOWER SYSTEM」が完成した。